八尾トーヨー住器株式会社

​住所:大阪府八尾市恩智南町2丁目6番地

業種:卸売業、小売業

社員数:139名(2019年6月現在)

HP:https://www.yaotfc.com

令和元年度第1回取材記事
ITツールを活用した働き方を進め、仕事への意識も変えていく

ITツール導入を全社的に進め、紙資料ベースだった従来の働き方から大きな変革をとげている八尾トーヨー住器(株)。オフィスをフリーアドレス化して効率よく業務を行える環境を整え、ワーク・ライフ・バランスの向上も目指しています。2019年度からは在宅勤務もスタートしました。これまでの取り組みと、実際にテレワーク制度を利用している社員の方々の声をご紹介します。

(左から)山田 大輔さん(インナーセールス部)、浜田 栄治さん(住設資材事業本部)、金子 真也さん(代表取締役社長)、石德 千秋さん(インナーセールス部)

●社長の決断でITツールを活用した効率的な働き方へ移行

――テレワーク導入の経緯をお聞かせください。

2012年から外回りのある営業系社員40~50人を対象にタブレット端末を配布して、業務効率化を図ることから始めました。それまでは各部署にノートパソコンが1台ある程度で、紙資料ベースで仕事を進めていました。労働時間も長く、この状況を解決するには積極的にITツールを活用した働き方へ変更しなければならないと思い、社長の決断でスタートしました。

 

タブレット端末を導入し始めた際には、そもそも文字を打つことに慣れていない社員もいたため、使いこなしていくにはある程度の時間がかかりました。ですが、すきま時間にオフィス外で仕事ができるようになり、お客様先からの直帰も可能となって、移動時間が減っていきました。

 

そして2016年に、対象社員への配布端末をタブレットからモバイルPCに変更しました。この頃には社内の受注書は電子化され、紙資料ベースの働き方からの脱却がさらに進みつつありました。2017年にはスマートフォンの配布を開始し、2019年3月にはモバイルPCを最新の端末に入れ替えています。

――建築業界でのテレワーク導入としては早い事例ですね。

建材を扱っている業種では、最先端を走っていると自負しています。社員が自分のペースで、より自由に働けるようになり、働き方はテレワーク導入前から大きく変わりました。

 

2015年からはオフィスのフリーアドレス化を進め、2019年11月現在、5つのオフィスのうち4カ所でフリーアドレス化が完了しています。残る1カ所も今年度中にはフリーアドレス化する予定で、場所にとらわれずに働ける環境づくりをさらに進めています。

 

当社の社員は組織上いずれかのオフィスに属していますが、仕事の状況に合わせて、どのオフィスでも勤務可能です。社員証がタイムカードを兼ねているため、出勤・退勤をそれぞれ別のオフィスで行うこともできます。

八尾オフィス(本社)のフリーアドレススペース

――フリーアドレス化にあたって特に留意されたことは何ですか?

場所にとらわれずに仕事ができるよう、紙の書類は電子化してデータベースにすることを徹底的に行いました。各オフィスで、社員各自が持てる保管スペースはロッカー1個(幅450×高さ350×奥行450mm)に限定しています。

また、5つのオフィスすべてにテレビ会議システムを導入しています。以前は月に1回、全社員が1カ所に集まって行っていた研修会も、現在はテレビ会議で行っています。社員の移動時間が不要になり、研修会の日も通常業務の時間を確保できるようになりました。

――ITツールを利用した配送の効率化にも取り組んでいらっしゃいますね。

各配送車にタブレット端末を搭載し、GPSで走行地点を把握しています。オフィス内の大型モニターで、各車の現在地が一目で分かるようにしました。現場への到着時刻や帰庫時間の予測が自動計算されるので、次の配送準備を行ったり、お客様からの配送依頼にもっとも短時間で向かえる車を手配したりできています。

八尾オフィス内の大型モニター。現場へ向かっている車は赤、現場にいる車は黄、帰庫途中の車は青と色で状況も確認できる。

●出産・介護といったライフイベントに直面しても働き続けられる体制づくりへ

――今年度から在宅勤務を始められたのですね。

育児休業から復帰する女性社員が、2019年4月からフルタイムの在宅勤務を始めました。当社初の事例です。オフィスの統廃合により復帰後の通勤が難しくなったため、会社から在宅勤務を提案しました。

 

産休・育休からの単なる復帰ではなく、今後、他の社員が介護などに直面しても働き続けられる体制づくりのテストも兼ねたいという社長の強い意向があり、在宅勤務に取り組んでもらっています。

 

八尾オフィスと社員宅とは常時接続され、いつでもビデオ通話でやり取りできます。何かあればすぐに話ができる利便さの確保はもちろんですが、在宅勤務による疎外感を感じてほしくないという目的もあります。在宅勤務者が生まれることについては、あらかじめ社長から社内に向けて、目的などをしっかりと話したことにより、実際に始まってもスムーズに受け入れられています。また、定期的に同じ部署の社員が訪問して、面談も行っています。

石德さん:

在宅勤務社員の自宅を私が月1回訪問して、面談を行っています。課題があれば出してもらい、テレワークのより良い活用方法を一緒に考えています。

 

実際に始まる前は多少の不安はありましたが、書類の電子化により依頼できる業務が増えつつあります。在宅でできる仕事を、今後さらに増やしていこうとしています。

 

新たな働き方の選択肢ができ、他の女性社員からの興味や関心も高まっていると感じます。

――テレワーク実施後、社内において働き方や考え方に変化が感じられますか?

この数年で働き方への意識は全社的に変わったと思います。

 

受注書の電子化は営業系社員のみならず、事務系社員の仕事の効率化にもつながっています。かつては紙の受注書を受け取らなければ事務処理をスタートできませんでしたが、今は営業社員が戻るのを待つ必要なく処理を行えます。

 

属人化している仕事があれば標準化していきたいですし、ライフイベントに起因する退職者がゼロになることを目指しています。

■テレワーカーへインタビュー

実際にテレワークを行っている社員の方々へお話をうかがいました。

●オフィスと常時接続された自宅で在宅勤務中(南さん)

インナーセールス部 南 理沙さん

2019年4月に子供が保育園に入園し、育児休業からの復帰を機に在宅勤務を始めました。自宅内に仕事部屋を設け、機器は会社から貸与されています。

 

これまで紙の書類を使って行っていた業務を、すべてデータベース上で進めることは、最初は慣れない部分もありました。周囲に人がいない状況で働くことも初めてです。ですが徐々に違和感がなくなり、今ではとてもやりやすいと感じています。オフィスとは常時接続されているため、特に孤独感もありません。在宅勤務では電話や来客対応業務がないため、業務効率が上がったとも感じています。

 

通勤時間がないため心身ともに余裕ができ、プライベートの時間をしっかり確保できています。仕事が終わったらすぐに保育園に迎えにいけ、家事も無理なく行えています。在宅勤務のさまざまな事例を積み上げて、会社に貢献していきたいです。

●オフィスのフリーアドレス化で移動時間を削減(小口さん)

南大阪チーム 小口 浩史さん

私が所属している泉大津オフィスは、一般住宅を改修したオフィス兼リフォームのモデルハウスです。約2年前に開設しました。別のオフィスに所属する社員が、現場からの帰りに立ち寄って業務を済ませ、退勤手続きを行って帰宅することなども頻繁にあります。

私自身も打ち合わせやお客様訪問などのため、八尾オフィスを利用することが多いです。たとえば朝、泉大津オフィスへ出勤して朝礼を行い、その後八尾オフィス周辺のお客様を訪問し、八尾オフィスで勤務して帰宅することで、移動時間を大きく減らせます。結果として、残業時間も減らせています。

書類はほとんど電子化されているので、どこででも仕事ができる環境が整っています。課題としては、社員間でモバイルPCの習熟度に差があることです。今後、社内のテレワークをさらに進めるためには、使い方のレクチャーを行うなど全体的なスキルアップが必要だと感じています。

 

泉大津オフィス外観